*抵当権(ていとうけん)2
*抵当権の順位、順位変更
同一の不動産、例えば土地、建物、その両方に、抵当権は何個でも
設定できます。A銀行、その次にB銀行、その次にC銀行というよ
うにです。この抵当権の順番を「抵当権の順位」といいます。この
順位は、抵当権の登記を早くやったものから1番、2番、3番とな
ります。(民法373)
抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができま
す。順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じません。
(民法374)
D銀行が抵当権を設定しようとしたら、3番まで抵当権が設定され
ており、その不動産の価値と、1、2、3番抵当権の債権金額の合
計を比較して、もし競売してもD銀行が債権回収できないと判断し
たら、D銀行はお金を貸さないことになります。1番から順に優先
弁済していくとD銀行分の取り分がなくなるからです。
*抵当権の担保される債権の範囲
抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、
抵当権設定当時の元本は含みますが、利息については、満期となっ
た最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができま
す。(民法375)
(参考 *定期金とは、年金、地代、家賃等定期的なお金をいいま
す。)
後順位の抵当権者、一般の抵当権者でない債権者のことを考えてこ
のような規定を設けています。後順位の抵当権者、一般の抵当権者
でない債権者がいない場合はこの限りではありません。
しかし、通常そのようなことは考えられません。
抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その
後に生じた抵当不動産の果実に及びます。(民法371)
債権者は、お金を貸していて、債務者が返済しないときは、その利
息についてはもちろん、地代、家賃等についても抵当権の範囲が及
びます。
(参考)
【物権】
・民法で定める物権
所有権、用益物権、担保物権、占有権の4種です。
・民法で定める担保物権
留置権、先取特権、質権、抵当権の4種です。
【民法】
第十章 抵当権
第一節 総則
(抵当権の効力の及ぶ範囲)
第三百七十条 抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目
的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体と
なっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及
び第四百二十四条の規定により債権者が債務者の行為を取り消すこ
とができる場合は、この限りでない。
第三百七十一条 抵当権は、その担保する債権について不履行があ
ったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。
(留置権等の規定の準用)
第三百七十二条 第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条
の規定は、抵当権について準用する。
第二節 抵当権の効力
(抵当権の順位)
第三百七十三条 同一の不動産について数個の抵当権が設定された
ときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。
(抵当権の順位の変更)
第三百七十四条 抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更
することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、そ
の承諾を得なければならない。
2 前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その
効力を生じない。
(抵当権の被担保債権の範囲)
第三百七十五条 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利
を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、そ
の抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金につ
いても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその
抵当権を行使することを妨げない。
2 前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の
賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の二年分につい
ても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して二年分を超
えることができない。
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