不動産基礎知識

2015年3月14日土曜日

不動産関係民法・地役権(ちえきけん)

*地役権(ちえきけん)




設定行為で定められた目的に従い、自己の土地の便益のために他人

の土地を利用する権利のことを地役権といいます。(民法280)

例えば、送電線のための地役権、通行の地役権、引水の地役権等が

あります。




・要役地

地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいい

ます。

(例)通行の地役権の場合は、通行させてもらう側が持っている

土地を要役地といいます。



・承役地

地役権者以外の者の土地であって、要役地の便益に供されるものを

いいます。

(例)通行の地役権の場合は、通行する土地(通行することを承諾

した土地。)



・地役権は要役地と分離して譲渡、処分できません。

地役権は、要役地のためにある権利ですから、要役地と分離して譲

渡したり処分したりできません。またほかの権利の目的とすること

もできません。(民法281-2)
 


・要役地の所有権とともに移転

地役権は、要役地の便益の為に成り立っているものですから、設定

行為に別段の定めがあるときは別として、要役地の所有権に従たる

ものとして、要役地の所有権とともに移転します。(民法281-

1)



・地役権の時効取得

地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができる

ものに限り、時効によって取得することができます。

ただし外形上認識できなければ時効取得できません。(民法28

3)



・地役権の消滅時効

地役権の権利を20年間行使しない場合は消滅時効となります。



・地役権の登記

地役権は登記しなければ第三者に対抗できません。

承役地の土地全部に地役権の登記をするときは全体であるから問題

はありません。しかし一部に地役権の登記をするときは、その土地

のその部分を分筆しない限り、範囲が確定しません。そのため、

地役権の範囲を確定する「地役権図面」を作成して、法務局に提出

することになります。








(参考)



*物権

財産権の主要なものに「物権」と「債権」があります。

物権は直接支配して利益を受ける排他的な権利です。民法は、物権

法定主義として所有権、用益物権、担保物権、占有権の4種に区別

しています。


*用益物権

民法では、他人の物(土地等)を一定の範囲で使用収益させてもら

う物権(権利)を「用益物権」といっています。

このうち他人の土地上の権利・用益物権には、地上権、永小作権、

地役権、入会権があります。



【民法】  第六章 地役権


(地役権の内容)

第二百八十条  地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の

土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第

一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に

違反しないものでなければならない。



(地役権の付従性)

第二百八十一条  地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他

人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従

たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について

存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段

の定めがあるときは、この限りでない。

2  地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的

とすることができない。



(地役権の不可分性)

第二百八十二条  土地の共有者の一人は、その持分につき、その土

地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることが

できない。

2  土地の分割又はその一部の譲渡の場合には、地役権は、その各

部のために又はその各部について存する。ただし、地役権がその性

質により土地の一部のみに関するときは、この限りでない。



(地役権の時効取得)

第二百八十三条  地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識

することができるものに限り、時効によって取得することができる。


上記関連条文


(債権等の消滅時効)

第百六十七条  債権は、十年間行使しないときは、消滅する。

2  債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、

消滅する。 



第二百九十二条  要役地が数人の共有に属する場合において、その

一人のために時効の中断又は停止があるときは、その中断又は停止

は、他の共有者のためにも、その効力を生ずる。

第二百九十三条  地役権者がその権利の一部を行使しないときは、

その部分のみが時効によって消滅する。



(共有の性質を有しない入会権)

第二百九十四条  共有の性質を有しない入会権については、各地方

の慣習に従うほか、この章の規定を準用する。 



【不動産登記法】


(地役権の登記の登記事項等)

第八十条  承役地(民法第二百八十五条第一項 に規定する承役地

をいう。以下この条において同じ。)についてする地役権の登記の

登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとす

る。

一  要役地(民法第二百八十一条第一項 に規定する要役地をいう。

以下この条において同じ。)

二  地役権設定の目的及び範囲

三  民法第二百八十一条第一項 ただし書若しくは第二百八十五条

第一項 ただし書の別段の定め又は同法第二百八十六条 の定めがあ

るときは、その定め

2  前項の登記においては、第五十九条第四号の規定にかかわらず、

地役権者の氏名又は名称及び住所を登記することを要しない。

3  要役地に所有権の登記がないときは、承役地に地役権の設定の

登記をすることができない。

4  登記官は、承役地に地役権の設定の登記をしたときは、要役地

について、職権で、法務省令で定める事項を登記しなければならな

い。 

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