不動産基礎知識

2015年3月18日水曜日

不動産関係民法・抵当権(ていとうけん)8

*抵当権(ていとうけん)8




*抵当権の処分


・抵当権者は、自分がもっている抵当権の権利について、いろいろ

処分することができます。このことを抵当権の処分といいます。


・抵当権者は、その抵当権を自分が負担している債務の担保とする

ことができます。(転抵当・てんていとう)


・また同じ債務者に対して、他の債権者が抵当権を設定している場

合、他の債権者の利益のために、自分の抵当権を譲渡することがで

きます。(抵当権の譲渡)


・また順位(登記簿に債権者が抵当権設定をしていますが、順位1、

順位2・・・というように登記簿には登記順に番号が記入されてい

ます。)を譲渡したり、放棄したりすることができます。(抵当権

の順位変更、抵当権の順位放棄)(民法376-1)


・ただし抵当権の順位の変更は、他の各抵当権者の合意によって変

更することができます。利害関係を有する者があるときは、その承

諾を得なければなりません。(民法374)


・抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処

分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前

後によることになります。(民法376-2)



*「付記」の登記について

抵当権の登記だけではなく、他の登記も同じですが、登記には順位

番号という欄があって、その欄に順位がつけられています。つまり

順番に1、2、3、・・・とつけられて登記されていきます。順位

の変更をするということになればたいへんです。登記簿を変更して

いるとややこしくなります。そこで後からでも何回でも変更できる

方法を考えました。これが「付記」の登記といいます。

所有者が住所変更した場合、その変更の登記をするときにも付記登

記します。


順位3の登記に付記登記したいときは「3 付記1号」「3 付記

2号」というふうに書いて、内容を書きます。

そして元の登記の順位欄には順位番号「3」の次に「付1」「付

2」と書いて、付記がどのくらいあるかはっきりさせます。

ややこしくないとはいえ、付記登記がたくさんになると、ややこし

く迷路みたいになります。(笑)



*抵当権の消滅


抵当権は、債務者及び抵当権設定者(債務者、債務者のために担保

を提供した者)に対しては、その担保する債権と同時でなければ、

時効によって消滅しない。つまり担保する債権が時効消滅しないか

ぎり抵当権は消滅時効にかからないということです。

その他の者、第三取得者などは、債権が消滅時効にかからないでも

抵当権は消滅時効にかかります。(民法396)



・債務者でない者、抵当権設定者でない者、つまりその他の者、第

三取得者が抵当不動産について、取得時効に必要な要件を具備する

占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅します。(民法3

97)



・抵当権の目的である地上権等の放棄

地上権または永小作権を抵当権の目的とした地上

権者または永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当

権者に対抗することができません。 (民法398)








(参考)


【抵当権の実行】

債務者が返済不能になり、債権者が、債権回収のため抵当権に基づ

き抵当物件を競売することになります。このことを抵当権の実行と

いいます。



【物権】


・民法で定める物権

所有権、用益物権、担保物権、占有権の4種です。


・民法で定める担保物権

留置権、先取特権、質権、抵当権の4種です。




【民法】 第十章 抵当権


(抵当権の順位の変更)

第三百七十四条  抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変

更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、

その承諾を得なければならない。

2  前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、そ

の効力を生じない。


(抵当権の被担保債権の範囲)

第三百七十五条  抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権

利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、

その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金に

ついても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からそ

の抵当権を行使することを妨げない。

2  前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害

の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の二年分につ

いても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して二年分を

超えることができない。


(抵当権の処分)

第三百七十六条  抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、

又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若

しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。

2  前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の

処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵

当権の登記にした付記の前後による。




(抵当権の消滅時効)

第三百九十六条  抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、

その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。


(抵当不動産の時効取得による抵当権の消滅)

第三百九十七条  債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産

について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当

権は、これによって消滅する。


(抵当権の目的である地上権等の放棄)

第三百九十八条  地上権又は永小作権を抵当権の目的とした地上

権者又は永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権

者に対抗することができない。 

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