不動産基礎知識

2015年3月18日水曜日

不動産関係民法・抵当権(ていとうけん)6

*抵当権(ていとうけん)6





*抵当権設定と建物賃貸借
                 

1 抵当権の設定登記がされる前からその建物を使用している賃借

人は、その後抵当権設定の登記がされ、その建物が競売された場合、

明け渡す必要はありません。

競落人(建物を競売で買った人、買受人)つまり新しい家主が替わ

っただけのことで、そのまま建物を使用し続けることができます。


2 抵当権の設定登記がされた後、賃貸借契約をして、その建物を

使用している賃借人は、その建物が競売された場合、明け渡す必要 

があります。

ただし、その建物の競売買受人の買受けの時から6か月を経過する

までは、その建物を買受人に引き渡さなくてもいいということです。

(民法395)

(例外はあります。民法387条  登記をした賃貸借・・・

賃貸借の登記をしているものはめったにありません。)



*要注意 抵当権の設定登記後の賃貸借


前述のとおり、抵当権の設定登記後の賃貸借です。たいてい家主は

賃貸物件を購入する場合銀行のアパマンローン(アパートマンショ

ンローン)を借りています。当然銀行はその物件に抵当権を設定し

ています。


家主がローン返済不能になれば、抵当権の実行、競売になります。

賃借人は「6ヶ月までに別の賃貸物件を借りればいいや」と考える

でしょう。


民法395条は改正され現行のようになっています。6か月の猶予

はいいんです。しかし敷金返還請求はどうでしょう。

平成16年4月1日以降の新規の賃貸借契約については、敷金の返

還は、元の家主に請求することになっています。

元の家主は、ローン返済不能だから競売されたわけです。元の家主

に請求しても無理でしょう。


「こんなこと知らなかった。仲介の賃貸業者も説明してくれなかっ

た。」と言っても後の祭りです。

もう一度「物件説明書」を見てください。「抵当権設定されていま

す」と書かれているはずです。


「抵当権が実行されたら、6か月以内に建物を明け渡してください。

敷金の返還は新しい家主ではありません。元の家主になります。で

すから、あなたが今預ける敷金が返ってくる可能性はゼロに近いで

す。」

こんな親切な物件説明は99%ないでしょう。法律を知らなかった

あなたが悪かったということになります。(泣)


こんな不合理なことはないですね。現在、賃貸不動産業界も外国資

本が入ってきている関係もあって、敷金はどんどん下がっています。

したがって、万一のときでも被害額は少なくて済みます。詳しいこ

とは知りませんが保険もあるようですね。


まあ世の中、法治国家であれば、法律は知らん、そんなもの知らん

でも世の中生きてゆけるんや、という時代は、悲しいかな終わりま

した。しっかり勉強しましょう。(笑)





(参考)


【抵当権の実行】

債務者が返済不能になり、債権者が、債権回収のため抵当権に基づ

き抵当物件を競売することになります。このことを抵当権の実行と

いいます。



【物権】


・民法で定める物権

所有権、用益物権、担保物権、占有権の4種です。


・民法で定める担保物権

留置権、先取特権、質権、抵当権の4種です。




【民法】 第十章 抵当権 第二節 抵当権の効力


(抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力)

第三百八十七条  登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした

抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があ

るときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。

2  抵当権者が前項の同意をするには、その抵当権を目的とする

権利を有する者その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき

者の承諾を得なければならない。


(抵当建物使用者の引渡しの猶予)

第三百九十五条  抵当権者に対抗することができない賃貸借によ

り抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲

げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建

物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、

その建物を買受人に引き渡すことを要しない。

一  競売手続の開始前から使用又は収益をする者

二  強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始

後にした賃貸借により使用又は収益をする者

2  前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使

用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当

の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期

間内に履行がない場合には、適用しない。


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